銃

常に自分自身を客観的に観察し、心の動きを実験台とみなしているように行動(あえてする/あえてしない)する大学生の主人公。*1 しかし偶然手に入れた「銃」によって徐々に制御困難な状況へ変質していく・・。陰な作品ではあるけれど、主人公のモノの考え方は少なからず我々に共感を与えると思う?ので、興味深く読めるのではないかと思う。客観的に自分を観察する主人公を、読者としての自分がさらに近くから観察している、そんな感じでどんどん読み進んでいける。ちょっと対女性の描写がどーなんかなという気もするけど。これはデビュー作だけど、芥川賞受賞作ではどんな世界を描いてるのかも興味深い。

*1:主人公が口にする「私は〜」の「私」には自身との隔たりを感じさせる。